同期の友人が咽頭癌で声帯の摘出手術をしてから1年が経った。彼が自分で作った目黒の駅から見える如何にも建築家の自宅に向かう。

 突然の訪問で失礼だとは承知していたが、タマにしか上京しない田舎者だと図々しくドアを叩いた。メールと葉書のやり取りはしていたが、電話だと声帯が無い彼には失礼かと勝手に言い訳していた。

 ところが、階段を下りてきた彼は会話ができるのだ、声帯が無いのに、人間の力というか彼の努力と言うか気力は凄い。小さな増幅器は使うが、喉にマイクを押し付けると昔懐かしい少しダミ声の彼の声が聞えてきた。眼鏡の奥の微笑みまで同じだ。

 病気もまして癌は大変な事なのだが、乗り越える人の力も凄い、今、脳波で義足を動かす研究が進んでいるらしいが、彼の脳波というか念力でマイクから声が出る時が来るのかと思った。

 彼の明るさもあるが、側で見ててくれる嫁さんが居るから言葉が喋れる迄に回復するのかも。

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